moto’s diary

薬嫌いの薬剤師。ほんとうの事以外いらない。

何故タバコをやめないのか

好きだから。

ってのが一番だけどもちろんそれだけではない。

健康オタク面をしてつらつら喋っておきながら、「喫煙者」とみた瞬間にフリーズして失笑する人も多い。

しかし世界のあらゆる事に疑問を持つきっかけになったのが煙草なのだ。

毎回説明するのも面倒なので記録しておく。

 

そもそも生まれつきの喘息で、インタール、オノン、メプチン、フルタイド、アドエア、シムビコート、30年喘息治療薬の歴史と共に生きてきた。

親は煙草から俺を守り続け、喫煙者を敵視し、1日40本の超ヘビースモーカーの親父を生まれる前には禁煙させ、パイプ愛好家の祖父も禁煙させた。今では学校に出向いては子供達に喫煙の害をとうとうと伝え、親が吸っているのならやめさせなさいと説く活動をしている。

その息子が親元を離れ、質の悪い交流が出来た事であっさりと喫煙者となった。

薬なしで発作が起きない日などないので、毎日煙草とアドエアを吸い続けた。

普通小児喘息は大人になるにつれ完治までいかずとも症状は緩和されていくものだが、当たり前のように症状は出続けた。

使えば大体一瞬で発作は治る気管支拡張薬も効かない時があったりと、どっちかというと年々悪化していた。

原因は明らかだと思いながら、死ぬかもしれない恐怖と闘いつつ吸い続けた。

 

実家に帰れば二十歳を超えていようが母親から烈火の如くキレられるのでずっと隠れて吸っていた。においですぐにバレるので結局毎回烈火の如くキレられていた。

 

○歳の誕生日から喫煙する。は常套句となり、ニコパッチ、チャンピックスなどを駆使して何度かの禁煙期間は経つつ(最長1年半)、最後には必ず戻っていった。

死と隣り合わせになりながら、罪の意識を感じながらもなおそれを選択するとは、我ながら自分の愚かさには笑うしかなかった。

 

ある時母親がまたにおいを感知して説教が始まった。

 

「あんた煙草に何入ってるかわかる?」

「タール、ニコチン」

「それだけじゃないよ。500種類以上添加物入ってんだからね?」

「そうなの!?」

 

調べてみるとどうやら本当らしい。

アンモニア。刺激感を高め、依存性を増す

消臭剤。アンモニアの刺激臭軽減

燃焼促進剤。販促

アセトン、ホルムアルデヒド

全ての用途は把握していないがとにかく大量の化学物質が入っている事はわかった。

だがもうニコチンタールの時点で十分過ぎるほど恐ろしさを痛感している俺に特別新たな恐怖が増える事はなかった。

しばらく添加物を調べていると、アメスピ禁煙法というものを見つけた。

無添加の代名詞と言えるアメスピに変えると、3ヶ月程度で通常のタバコからの禁煙より楽に禁煙できるようになる。と

薬は軒並み試したので、斬新な方法だった。何よりいきなりやめるのではなく喫煙しながら緩やかにやめていけるという。自分に甘すぎる俺にはうってつけだ。どうせ吸い続けるのだから試してみた。

 

吸い始めて1週間くらいで異様な事が起きた。前日アドエアを吸入し忘れたのに発作が起きない。そこから1週間発作が起きるまでアドエアをやめてみた。

なんと喫煙しながら1週間薬なしで生活ができた。

混乱した。禁煙成功期間でも1週間に2回は薬がないと発作が起きていた。

それから2週間、3ヶ月と、例の禁煙楽ちんゾーンに突入したが発作は一度も起きない。もちろん薬なしで。

愛と憎しみを抱き続けた煙草が地獄の病魔から救い出してくれた。

感動の余り、こんな結論に結びつけるほか無かった。

 

重要だと思われる所は喘息に効果があるという情報は一つもない状態で起きたという事だ。

もしあれば、結果は少なからずバイアスによってもたらされたものである可能性が出てくるが、それがない。奇跡と呼んでいいだろう。

 

煙草は昔、呼吸器疾患の薬として使われていた事がある。

最早十分にあり得る話だ。

調べてみると確かに咳が止まったという話はちらほらある。アメスピに変えて喘息が治ったは1件だけ発見した。流石にもう少し欲しいので身近でそういった体験があれば教えて欲しい。

 

常に7世代先の事を考えて暮らしていたというインディアンが、何千年もその毒性に気付かないなんて事があるだろうか。

 

母親はよく肺がんを引き合いに出していたが、昨今の喫煙者の激減と、肺がん患者の激増を説明する時、時差があるからだと言う。

それから10年経った今でも肺がんの激増は止まらないが、どこまで時差を通すつもりだろう。

ただ、どこの誰がどんな意図で作ったかわからない統計は全て添加物の有無など関係なく行われているわけで、その原因が煙草なのか添加物なのかといった検証が行われた事はないのである。

 

喘息が起きない以上煙草をやめる理由がないので6年間現在に至るまで吸い続けている。薬は一度も使っていないし発作もない。

簡単に買える無添加アメスピしかないが、手巻き煙草の世界に踏み込むと、無添加煙草のラインナップはかなり増える。

面倒だが美味いし若干安い。

色々試したが、結局アメスピの手巻きが一番好きだったのでオーガニックブレンドで落ち着いている。

紙巻きアメスピは数年前JTに買収されてしまった為、今後も完全無添加であり続けられるかどうか怪しい。

もっと上はあるだろうがJTはクソだ。

長年セブンスターを吸い続けた老人は今のセブンスターは昔のセブンスターとは別物だという。

昔イギリスに行った時、持ち込んだ煙草が切れてしょうがなく店で日本と同じマルボロを買った時、味がまるで違っていた。日本は日本人の口に合う仕様にされていると聞いたが、それはこの事に無関係ではないかもしれない。

 

この事を母親に話すとヒステリーが止まらない。

西洋医学批判もまるで受け付けないが、おそらくそれよりもこの話が、俺と言う存在全てを拒絶する大きな要因だろう。無理もない。

しかし皮肉な事に、貴女が俺を煙草で救ってくれた事は事実である。

 

もう一つ興味深い話がある。

高校の時、保健体育の先生はベビースモーカーで「煙草吸ってるとボケない」と言っていた。

 

これは薬剤師として臨床の場に出てから現場を見てきて思う事だが、喫煙者の老人には痴呆が見当たらない。むしろ他の同年代と比べ意識がかなりハッキリしているように見える。

老人ホームに入り、強制的に禁煙させた人が途端にボケるという話も聞いた事がある。

冒頭で母親に禁煙を強いられた祖父はその数年後にパーキンソン病を発症して亡くなった。

認知症とは別とはいえ、パーキンソン患者の3割が認知症併発を考えると、そうそう無関係な事ではないように思える。

ネットで調べても煙草は認知症の原因だと、目の当たりにしてきた世界とは別の情報しか出てこないので、もし身近に患者がいる方は、嫌がらない人だけこっそり喫煙させてみてほしい。こちらも情報があれば聞かせて頂きたい。

 

今後絶対やめないという訳ではない。

吸いたくなくなる事があったらやめるし、金銭的負担が重いなと感じたら考える。死んだらやめる。

喘息、肺がんなどの因果関係に関する話はこの件で全く懐疑的になったが、吸わない人にとって臭害である事は間違いはない。吸っている自分でさえたまに不快に思う。家の着色も間違いない。ここら辺は今後も注意して付き合っていく。